ほぼほぼはいつから使われ始めたのか?ほぼほぼの起源

以前ほぼほぼについての記事を書いたが、ネット上でいろいろ調べたらほぼほぼの起源に言及している記事がいくつかあることに気付いた。しかしそのほとんどは賛同できない。

10年以上前に使用例があるという主張

三省堂の今年の新語2016のページでは国会会議録で1949年にすでに使用例があるから意外と歴史は古いなどと書かれており、「ほぼほぼ」で検索して一番上に出てくるサイトではネット上の最古例が1999年だと主張している。この二つのサイトの内容を鵜呑みにしてほぼほぼの起源は意外と古いと紹介しているサイトもいくつかあるが、彼らはその字面ばかりに囚われてほぼほぼのアクセントを一切無視している点が片手落ちである。

このサイトでほぼほぼについて考察した記事で再三主張したように最近流行しているほぼほぼはアクセントが平板型であるという点でそれ以前に使われていたほぼほぼとは別物である。またほぼほぼに対する嫌悪感の原因もアクセントにあることはほぼ間違いないだろうと思われるから最近の流行語としてのほぼほぼを語る上でその起源をどんなに多く見積もっても10年以上さかのぼるのは無理がある。少なくとも20世紀に使われていたほぼほぼは平板型ではなくほぼを2回繰り返しただけの高低高低で発音される「ぼ」だったということは昔からほぼほぼを使っていたという人も賛同してくれると思う。

三省堂のサイトでも「実際の発音も「ほぼ、ほぼ」と分けていたかもしれません。」と一応発音についても言及しているが日本語を普段から扱っているプロの編集者ならもっと突っ込んでアクセントまで考慮して解説すべきだった。それを日本語にはほかにも繰り返す表現があるから日本語としてはおかしくないなどとずれた説明をするのはプロとしてどうかと思う。多くの人がほぼほぼを嫌うのは言葉の字面ではなくアクセントにその原因があるというのが真相だと思うから。

書き言葉からおこったという説

もうひとつ面白いと思った考察はこのサイト

日本一「ほぼほぼ」に詳しくなれる研究ノート【リンク集】

正直日本一詳しいと自称するほどの考察ではないが、ほぼほぼがほぼの漢字表記を起源とするという独自の主張を展開している。

いろいろと問題もあるような気もするが全くあり得ないとも言い切れない。しかし「ほぼ」のような身近な言葉は書き言葉から影響されにくいのではないかとも思う。

ほぼほぼはアクセントの平板化によって流行したというのが正しい

ほぼほぼの本当の起源はどこにあるか。といってもほぼほぼを最初に言ったのは誰でそれはいつか、アクセントが平板化したのはどこでそれはいつか、この2点について正確な答えを出すのは残念ながら不可能である。「バツイチ」「ディスる」「想像の斜め上」など出自のはっきりしている流行語はいくつかあるが、ほぼほぼに関しては有名人が発した言葉ではないのでどこでどうやって生まれたのか確実にはわからない。

推測するに20世紀後半ごろから「ほぼ」という単語の意味を強調するために2回重ねて「ぼ、ぼ」という言い方が全国で自然発生的にぽつぽつと出始め、21世紀に入ってからどこかの集団でアクセントが平板化し、それがテレビで頻繁に使われたことにより爆発的に流行したものと思われる。もしアクセントが平板化していなければここまで流行ることはなかっただろう。平板化してひとつの単語として生まれ変わったからこそ認知され好んで使われるようになった。

だからほぼほぼのおこりを考えるときに「ほぼ」を二回重ねただけの「ほぼほぼ」の起源なのかあるいは平板化した一つの単語としての「ほぼほぼ」なのかという区別があり、2回重ねただけの「ほぼほぼ」の初出であればかなり古くまでさかのぼるが、平板化した「ほぼほぼ」の初出であれば2010年代以降であるとするのが正しいだろう。

コメント

  1. テェギイーワイヤ より:

    ファミレス等での「ごゆっくりどうぞー」って あれ 私的には
    「どうぞごゆっくり」の方が、上品で良いのではないかな って思うのです。
    ま 大した事でもないし、左へ受け流せば良いんですけどね・・・